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涌井 隆; 高岸 洋一*; 二川 正敏
Materials, 16(17), p.5830_1 - 5830_16, 2023/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Chemistry, Physical)水銀ターゲット容器は、陽子ビームの入射に伴い、キャビテーション損傷を受けるため、キャビテーションバブルの位置や衝撃圧力分布の不確実さを考慮して、モンテカルロ・シミュレーションを用いたキャビテーション損傷を予測する手法を提案した。本手法では、個々のキャビテーション気泡の崩壊に起因する衝撃圧力の分布はガウス分布とし、衝撃圧力の最大値の確率密度分布は3種類の分布: デルタ関数、ガウス分布、ワイブル分布と仮定した。衝撃圧力の分布を記述する方程式の2つのパラメータについて、実験から得られたキャビテーション損傷の分布とシミュレーションから得られた累積塑性ひずみの分布を比較し、ベイズ最適化を使用して推定することができた。また、ワイブル分布を用いて得られた結果が、他の結果に比べて、実際のキャビテーションエロージョン現象を再現することが分かった。
涌井 隆; 高岸 洋一*; 二川 正敏; 田邉 誠*
実験力学, 23(2), p.168 - 174, 2023/06
核破砕中性子源の水銀ターゲット容器において、陽子ビームが水銀に入射することにより、容器内面にキャビテーション損傷が生じる。気泡核の位置や衝撃圧力分布のばらつきを考慮して、モンテカルロ・シミュレーションを用いたキャビテーション損傷の予測方法を提案した。実験より得られたキャビテーション損傷の分布とシミュレーションより得られた積算ひずみの分布を比較し、ベイズ最適化を用いた逆解析により、衝撃圧力の分布を評価した。ガウス分布を仮定した最大衝撃圧力の平均値及び広がりはそれぞれ3.1GPa及び1.2mであった。シミュレーション結果は実験結果を再現しており、本評価手法が有効であると言える。
直江 崇; 木下 秀孝; 涌井 隆; 粉川 広行; 羽賀 勝洋
JAEA-Technology 2022-018, 43 Pages, 2022/08
大強度陽子加速器研究施設(Japan Proton Accelerator Research Complex, J-PARC)の物質・生命科学実験施設に設置されている核破砕パルス中性子源水銀ターゲットでは、高エネルギー陽子線入射時に水銀中に発生する圧力波が引き起こすキャビテーションによって、ステンレス鋼製のターゲット容器内壁に激しい壊食損傷が生じる。陽子線強度の増加と共に攻撃性が高くなるキャビテーションが引き起こす壊食損傷によって、熱応力を低減するために厚さ3mmで設計されたターゲット容器先端部では、長時間の運転により壊食痕からの水銀漏洩や、壊食痕を起点とした疲労破壊などが生じる懸念がある。これまでに、高出力での長期的な安定運転を実現するために、キャビテーションによる壊食損傷を低減するための取り組みとして、容器内壁への表面改質の適用や、水銀中への微小気泡注入によりキャビテーションの発生源である圧力波の抑制、先端部の2重壁構造化を進めてきた。損傷低減化技術の効果を確認するために容器内壁に形成された損傷を観察する必要があるが、中性子源の運転中に内部を観察することは不可能であるため、運転を終えたターゲット容器の先端部から試験片を切出し、内壁の観察を実施している。ターゲット容器の破損による水銀の漏洩を防ぎつつ、運転出力によって変化する適切な容器の交換時期を検討するためには、運転出力と損傷の関係を明らかにすることが必要である。これまでに、高放射線環境で遠隔操作可能な試験片切出し装置を開発し、実機水銀ターゲット容器からの切出しを通じて、遠隔操作性や、より確実に試験片を切出すための切削条件の検討や切出し手法の改良を重ねてきた。本報では、実機ターゲットでの作業経験、及びモックアップ試験の結果に基づいて改良した遠隔操作による水銀ターゲット容器先端部からの試験片切出し手法に加えて、これまでに実機から試験片を切出した結果の概要についてまとめる。
高田 弘
Plasma and Fusion Research (Internet), 13(Sp.1), p.2505013_1 - 2505013_8, 2018/03
大強度陽子加速器施設(J-PARC)のパルス核破砕中性子源は、以下に示す独自の特長を有するモデレータを用いて高強度かつ幅の狭いパルス状の冷中性子を供給している。独自の特長とは、(1)100%比率のパラ水素を用いることでピークが高くテイル成分の低い中性子パルスをつくる、(2)直径14cm、高さ12cmの円筒形状とすることで、50.8という広い取り出し角度範囲で高強度の中性子を利用できる、(3)銀-インジウム-カドミウム合金製の中性子吸収材を使用し、幅が狭く、テイル成分の低い中性子パルスをつくる、というものである。実際、低出力運転時の測定によって、1MWの運転時には、結合型モデレータで4.510n/cm/s/srの中性子束が得られ、ポイズン型モデレータを使用する中性子実験装置(BL08)ではd/d 0.035%の優れた分解能が得られることを確認した。ここで、dは結晶試料内のある方向の格子面と中性子の入射方向とのなす角度に垂直な方向の面間隔を意味する。1MWで年間5000時間の運転を行うという目標の達成に向けて、現在、微少気泡を水銀ターゲットに注入し、ターゲット容器に生じるキャビテーション損傷を抑制する技術開発やターゲット容器構造を溶接部やボルト接続をできるだけ減らす設計改良を行っている。
高田 弘; 直江 崇; 甲斐 哲也; 粉川 広行; 羽賀 勝洋
Proceedings of 12th International Topical Meeting on Nuclear Applications of Accelerators (AccApp '15), p.297 - 304, 2016/00
J-PARCでは、パルス核破砕中性子源の水銀ターゲットを1MWの設計ビーム強度で運転するために継続的に様々な努力を行ってきた。1つの技術的な進歩は、3GeVの陽子ビームが25Hzの繰り返しで入射される際にターゲット容器の尖頭部に誘起されるキャビテーション損傷の低減である。水銀ターゲットへの微小気泡注入の性能を向上させた結果、300kWの陽子ビームで2050MWhの運転を行った後で、ターゲット容器の内側表面に顕著なキャビテーション損傷がないことを観測した。これとは別に、ターゲット容器を交換する際に放出される気体状の放射性物質、特にトリチウムの量を抑制においても進展があった。ターゲット容器交換の際、ターゲットシステムが開放されるときに、その内部の空気を気体廃棄物処理設備に引き込む手順を加えることによって、スタックからのトリチウム放出を抑制した。例えば、2050MWhの運転後の場合、放出されたトリチウム量は12.5GBqであり、これば予測値の5.4%に留まった。このような進展に基づき、2015年4月から核破砕中性子源の運転ビーム強度は500kWに増強された。
直江 崇; 二川 正敏; 大井 俊志; 石倉 修一*; 池田 裕二郎
材料, 54(11), p.1184 - 1190, 2005/11
高出力の核破砕中性子源の開発が世界的に行われている。大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質生命科学実験施設では、核破砕水銀ターゲットからの発生する中性子を用いて、物質生命科学の先駆的研究が展開される。陽子ビームが水銀ターゲットへ入射することにより、水銀中では熱膨張による圧力波が生じる。この圧力波の伝ぱ過程で発生する水銀中のキャビテーションは、ターゲット容器内壁に局所的な衝撃壊食損傷を形成する。この衝撃壊食は、構造健全性を低下させるため、ターゲット容器交換寿命を決定する重要な因子となる。局所的な衝撃壊食損傷を再現するために、電磁式衝撃圧負荷試験装置(MIMTM)を開発し、壊食損傷形成を評価した。さらに、独立した壊食痕形状と、キャビテーション気泡崩壊時に生じるマイクロジェットの衝突速度との相関を評価するために、液滴衝突解析を適用した。その結果、壊食痕の半径/深さで規格化した値を用いることにより、マイクロジェット衝突速度が同定可能であり、陽子ビーム入射時の損傷を再現する実験における衝突速度は、225325m/sであることを示した。また、塑性変形による壊食痕形成抑制の観点から、表面硬化処理が有用であることを示し、その有効厚さについても評価した。
二川 正敏; 直江 崇*; 粉川 広行; 伊達 秀文*; 池田 裕二郎
JSME International Journal, Series A, 48(4), p.234 - 239, 2005/10
J-PARCに設置される核破砕パルス中性源には、ターゲット材として液体水銀を使用する。大強度陽子線入射時には、熱衝撃に伴う圧力波が水銀中に発生する。この圧力波の伝播過程で水銀中でキャビテーション気泡が生成し、気泡崩壊に伴う局所衝撃がターゲット容器の水銀接液界面に負荷する。本報では、液体水銀衝撃パルス負荷実験により形成したキャビテーション衝撃壊食痕、すなわちマイクロピット形状から局所衝撃力を評価した。さらに、気泡崩壊時に発生するマイクロジェット衝撃力を液球体による固/液界面の衝撃問題として数値解析を行い、実験結果と比較した。その結果、ピット半径と深さの比に着目すれば、マイクロジェット衝撃速度を推定できることがわかった。さらに、MW-classの水銀ターゲットでは気泡崩壊時に300m/s程度の衝撃負荷が発生することが推定された。
直江 崇*; 二川 正敏; 小山 智史*; 粉川 広行; 池田 裕二郎
実験力学, 5(3), p.280 - 285, 2005/09
現在、開発が進められているJ-PARCの物質生命科学研究施設では、核破砕中性子源水銀ターゲットから生成される中性子を利用した最先端の研究が行われる。大強度の陽子線入射に伴う熱衝撃により、水銀を充填するターゲット容器と水銀との界面では、急激な圧力変動によりキャビテーションが発生する。このキャビテーションによりターゲット容器内壁は壊食損傷を受ける。この壊食損傷は、薄肉構造であるターゲット容器の交換寿命を決定する因子となる。これまでに、電磁式衝撃圧負荷試験装置を用いて陽子線入射時の圧力変動を想定したキャビテーション壊食試験を行い、水銀中での衝撃壊食挙動を評価した。ここでは、キャビテーションにより生じる微小気泡の崩壊に起因する音響振動を計測し、損傷形態と比較した。その結果、音響振動から損傷の程度を評価するのに有用な情報が得られることを確認し、音響振動によりターゲット容器の健全性を診断できる可能性を示した。
祖山 均*; 二川 正敏; 本間 加奈*
Journal of Nuclear Materials, 343(1-3), p.116 - 122, 2005/08
被引用回数:10 パーセンタイル:56.65(Materials Science, Multidisciplinary)キャビテーション衝撃により水銀ターゲット容器が受けるピッティング損傷の評価手法を提案した。ピッティング損傷の潜伏期間を評価することは、容器壁厚さが薄いことから重要である。本報では、そのための二つの評価法を提案している。一つは、壊食試験から得た質量減少の対数表示結果から見積もる方法、他方は、潜伏期の塑性変形領域の観察結果から見積もる方法である。
二川 正敏; 直江 崇*; 粉川 広行; 池田 裕二郎
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(11), p.1059 - 1064, 2004/11
被引用回数:12 パーセンタイル:61.44(Nuclear Science & Technology)高出力核破砕中性子源の開発が世界で行われている。我が国では、革新的な科学研究の推進を目的としたJ-PARCの物質生命科学研究施設に、核破砕中性子源として水銀ターゲットが設置される。水銀を内包するターゲット容器はパルス陽子線入射時に衝撃的圧力変動を受ける。この圧力変動により生じるキャビテーションは、局所衝撃壊食をターゲット容器に付加する。この衝撃壊食は、ターゲット容器の寿命を支配する因子となる。これまでに、陽子線入射励起圧力波を再現できる電磁力衝撃圧負荷試験機を開発し、衝撃壊食の成長挙動を評価した。ここでは、局所衝撃エネルギに関連する音響振動を計測し、損傷形態と比較した。その結果、音響振動は、損傷の程度を推測する有効な情報を与えうることが明らかになり、音響振動によりターゲット容器構造健全性を診断できる可能性を示した。
祖山 均*; 二川 正敏
Tribology Letters, 17(1), p.27 - 30, 2004/07
被引用回数:20 パーセンタイル:58.53(Engineering, Chemical)キャビテーション侵食挙動について、水環境下のさまざまなキャビテーション発生条件で種々の材料に対して評価した。その結果、質量減少を伴う定常期間では時間と質量減少量の関係は、条件及び材料によらずほぼ1.3乗の指数則で表せることがわかった。したがって、定常期間における任意の経過時間に対する質量減少量が1点求まれば、実験式から潜伏期間を推測できることを示した。
二川 正敏; 直江 崇; 粉川 広行; Tsai, C.-C.*; 池田 裕二郎
Journal of Nuclear Science and Technology, 40(11), p.895 - 904, 2003/11
被引用回数:51 パーセンタイル:94.08(Nuclear Science & Technology)MW-クラスの核破砕中性子源の開発が世界的に行われており、冷却材とターゲット材を兼ねた液体水銀の利用が提案・開発されている。水銀ターゲットには陽子ビーム入射時に瞬時熱膨張に起因する圧力波が発生する。その伝播過程で水銀/容器壁界面近傍にキャビテーションが生じ、容器壁面にピッティング損傷が形成される。容器構造健全性の観点から、ピッティング損傷の形成挙動を評価することが肝要である。そこで、圧力波を水銀中に与えるために、電磁力を応用した衝撃試験機(MIMTM: Magnetic IMpact Testing Machine)を新たに開発し、1千万回を超える負荷回数領域の損傷形成挙動を調べた。その結果、損傷形成挙動がマイクロピット塑性変形支配領域である潜伏期と質量減少が顕著となる安定期に大別でき、安定期の質量減少を予測しうる実験式を導出した。
二川 正敏; 粉川 広行; Tsai, C.-C.*; 石倉 修一*; 池田 裕二郎
JAERI-Research 2003-005, 70 Pages, 2003/03
世界的にMWクラスの核破砕中性子源ターゲットの開発が行われている。陽子ビーム入射時に核破砕に伴う瞬時発熱により水銀中に圧力波が発生する。圧力波の伝播過程で構造/液体水銀界面で負圧が生じ、キャビテーションの発生・崩壊によるピッチング損傷が容器構造体内壁に形成されると考えられる。ピッチング損傷はターゲット容器の寿命支配因子となることから、その発生条件,損傷形態,程度を評価し、設計に反映することが必要である。そこで、ピッチング損傷に関する2種類のOFF-LINE実験;ホプキンソン棒衝撃負荷実験(SHPB),電磁力衝撃負荷実験(MIMTM)、を実施した。1000万回に及ぶ衝撃負荷後の損傷形態に関するデータをMIMTMにより取得した。さらに、古典的音響振動法により得られた平均壊食深さの結果と比較した。その結果、壊食挙動は、一定の質量減少率を示す定常状態と定常状態に至るまでの潜伏期に大別でき、定常状態における質量減少は規格化統一線図により整理され、潜伏期間は材料特性,負荷圧力の大きさにより決定されることを明らかにした。
田辺 龍彦*; 倉田 有司; 武藤 功*; 辻 宏和; 平賀 啓二郎*; 新藤 雅美
Mater. Sci. Eng., A, 234-236, p.1087 - 1090, 1997/00
HTTR用ハステロイXRの溶接継手を対象に、1123-1273Kにおけるクリープ破断寿命とキャビテーション損傷の関係を検討した。溶接継手の破断寿命は1123-1173Kの低温側では母材とほぼ同じである。一方、前者の寿命は1123-1273Kの高温側では後者よりも短くなる。組織観察によれば、溶接金属のキャビテーションは低温側では母材より低く、それが母材部での破壊をもたらす。一方、前者のキャビテーションは高温側では後者より高くなり、溶接金属部での破壊をもたらす。高められたキャビテーションとその結果としての溶接継手の破断寿命の減少は、高温で溶接金属の再結晶が著しくなることに起因している。
前野 航希*; 有吉 玄; 筒井 喜平*; 猿田 晃一; 粉川 広行; Li, Y.*; 二川 正敏
no journal, ,
大強度陽子加速器施設(J-PARC)における核破砕水銀標的では、標的容器の寿命に影響を及ぼす因子として、容器内壁のキャビテーション損傷が問題視されている。これは、陽子入射に伴う水銀の熱体積膨張で生じる圧力波が、水銀中を伝播する過程において、容器内壁近傍にキャビテーション気泡を生成し、それらの気泡が崩壊する際に発生させるマイクロジェットが壁面を局所的に壊食させることで形成される損傷である。J-PARCにおける水銀標的では、マイクロジェットの抑制手法として、水銀の「流動効果(Flow effect)」を利用している。これは、標的容器内部に狭隘流路を設けることで、狭隘流路内の流速を高くし、キャビテーション気泡の成長およびマイクロジェットの射出速度を抑制するものである。さらに、バルク流路側の水銀中へ微小気泡を注入することで得られる「クッション効果」を利用し、マイクロジェットの発生原因となる圧力波の大幅な抑制も実施している。これらの手法により、キャビテーション損傷の大幅な低減に成功しているが、完全な低減には至っておらず、水銀標的の運転時においては徐々に損傷がバルク流路側内壁面に蓄積されているのが実状である。そこで本研究では、損傷が蓄積された場合に形成され得る流路内壁の亀裂損傷に着目し、標的容器内の流れ場に対する亀裂損傷の影響を数値的に明らかにすることを目的とした。その一環として、標的容器先端部の流路を二次元的にモデル化し、内壁部の模擬損傷幅を主なパラメータとした流動解析を行った。
有吉 玄; 伊藤 啓*; 粉川 広行; 二川 正敏
no journal, ,
大強度陽子加速器施設(J-PARC)における核破砕水銀標的では、圧力波による標的容器のキャビテーション損傷が問題視されており、水銀中に微小He気泡を混合した水銀-He二相流を利用する損傷抑制技術が開発されている。圧力波の抑制・減衰に有効な固有振動数を有する気泡の半径は約0.1mm以下とされているが、水銀流中における微小気泡の合体・分裂挙動により、最も損傷抑制が要求される陽子ビーム窓部の気泡半径が適正値と異なり得ることが予想される。したがって、水銀-He二相流における気泡半径分布等の二相流特性に関する実験データの取得およびそれを基にした予測モデルの構築が必要となる。そこで本研究では、水銀標的内部における気泡半径分布の予測を目的として、空気-水二相流をモデル流体とした微小気泡の合体・分裂挙動の可視化実験および数値予測コードの開発を進めている。本報では、可視化実験結果の一例および予測コードの開発状況について報告する。
前野 航希*; 有吉 玄; 猿田 晃一; 村田 篤*; 粉川 広行; Li, Y.*; 筒井 喜平*; 二川 正敏
no journal, ,
水銀を核破砕標的とするパルス中性子源では、陽子線励起圧力波による標的容器のキャビテーション損傷が問題視されている。このような損傷の抑制手法として、水銀中に混合された微小He気泡の圧縮性効果により圧力波を低減する手法や、標的容器内側に流路壁(内壁)を追加した二重壁構造によりキャビテーション気泡の成長を阻害し、その攻撃性を抑制する手法が採用されており、損傷の大幅な低減に成功している。しかし、損傷を完全に防ぐことは原理的に難しく、標的の運転条件によっては損傷が進行し、内壁部に貫通損傷が形成される可能性が指摘されている。そこで本研究では、二重壁流路体系で内壁部に生じ得るキャビテーション由来の貫通損傷を標的容器外部から検出する異常診断技術の確立を目指す。その一環として本稿では、貫通損傷が生じた場合の流れ場を、有限要素法による流動解析で可視化し、流れ場に対する損傷の影響を調べた。